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drawing&artwork

“ 街にある星のまわる山 ”

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2013

福岡県 大名

大名アートアクション

photo by Sakai Sakiho

 

「星の回転は季節ごとに違う引力を生み出だしていて毎日ちょっとずつかわっていくから見逃せない。山ではお目当てだったヤマボウシの実がいつのまにか熟していたり、落ち葉が積もっていたり、夜のBGMがフクロウからスズムシにかわっていたり。そこへ人はちょっと動物的に入り込んで、美味しそうなものや暖かそうなもの、楽しそうなものを探りあて、おまけに予想外のアイテムを手にいれたりする。街でも同じことがおきていていろんなものが生まれ続けている。寒くなってきたらニット帽を探しに大名へいってみようと思う。」

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その後

私は相変わらず地元の裏山に通っていて今一番気になっているのはイノシシの存在である。足跡や地面を掘り起こした跡はばっちりと残っているのだけどイノシシそのものにはまだ会ったことがない。夜間の撮影を試みたが今のところまだ成功に至っていない。毎日出没するわけではないし、人間の痕跡というのはいろんな形で残っているらしくイノシシもそれがわかっているのかもしれない。 壁画を完成させてから約2ヶ月後、様子をみに大名を訪れた。すると壁画の上にグラフィティの描かれた痕跡があり、さらにそれを地元の方が消してくださった痕跡がみられた。衝撃は少しだけあったもののなんとなく裏山のイノシシのことを思い出した。裏山もこの壁画の山も似たようなことが起きていてどちらの山のまわりにもいろんなものが生きている。あの場所は誰かにとっての通勤路だったり、時々通る場所だったり、飲みにいってたまたま通った場所だったり、玄関を開けた目の前だったりして毎日空気も変わっていく。街にある星のまわる山はその空気で呼吸しながらうつりゆく季節の中に存在している。そう遠くはない取り壊しの日までその呼吸は続くのだ。